まず、「人的保証」とは、人が保証債務を負うことで保証の責任を果たすものです。
代表的なものは、連帯保証人、保証人が挙げられます。「人的保証」では、債務を全部負うことになるので、債務全てを完済するまでは連帯保証人、保証人の立場が消えることはありません。
例えば、主債務者が破産して連帯保証人が1,000万円の債務を背負うことになった場合、連帯保証人自身が所有する不動産等を売却して800万円用意できたとします。
しかし、それで終わりではなく、残りの200万円を払うまで保証債務は消えることはありません。
次に、「物的保証」とは、債務の保証として物を担保として提供することです。
代表的なものは、抵当権です。住宅ローンを組む場合、融資する金融機関が購入する不動産を担保に抵当権を設定しますよね、あのことです。
つまり、万が一、支払いが滞った場合、担保物件を競売にかけて、強制的に回収します。
「物的保証」は不動産だけを担保に提供しているので、債務全部を払えなくても物上保証人は物が売却されて回収されてしまえば、その時点で責任は終わることになります。物上保証人としての責任は、提供した不動産の価値が上限となります。
つまり、主債務者が1,000万円を金融機関から借りる際に、父が物上保証人として自分名義の土地を担保として提供したとします。そして、主債務者が破産し、金融機関がその父名義の土地を競売にかけて金額が800万円の場合は、物上保証人の父の責任は終わりとなり、金融機関は残りの200万円については父に請求することはできません。
このように、「人的保証」と「物的保証」は、保証という点では同じですが、保証の限度が違ってきます。性質の確認を事前にすることが大事ですね。
「保証」についてご不明な点等ある方はお気軽に弊社までご相談ください。
